男女共同参画に関する国際的な取り組み
更新日:2024年3月29日
ジェンダーギャップ指数(GGI)とは
世界経済フォーラム(WEF)は2023年6月21日に世界男女格差報告書(Global Gender Gap Report)の2023年版を発表しました。
ジェンダーギャップ指数(GGI)とは、この報告書において、各国の男女格差を「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野で評価しており、国ごとのジェンダー平等の達成度を指数にしています。「0」が完全不平等、「1」が完全平等を示しています。この数字が「0」に近いほど男女格差が大きく、数字が「1」に近いほど男女格差が小さく、男女共同参画が進んでいると言えます。
ジェンダーギャップ指数が低いと起きること
ジェンダーギャップ指数が低いと、男女間で様々な格差が広がります。
例えば、「性別が理由で満足に教育を受けられない」「女性だと管理職になれない」「女性議員が少なく、女性目線の施策が行われない」といったことが起こりやすくなります。
日本のジェンダーギャップ指数の状況
世界男女格差報告書の2023年版によると、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位で、前年の116位から更に下がり、2006年の公表開始以来、最低の順位となりました。上位10か国と日本の指数を比較してみると以下の表のように差があります。
分野ごとの日本の順位を見ると、教育が47位、健康が59位でしたが、政治は138位、経済は123位となっています。
政治分野と経済分野の順位が低く、「政治で女性の意見が反映されづらい」「女性の非正規雇用が多い」といったことが問題となっています。
順位 | 国 | 指数 |
---|---|---|
1 | アイスランド | 0.912 |
2 |
ノルウェー | 0.879 |
3 | フィンランド | 0.863 |
4 | ニュージーランド | 0.856 |
5 | スウェーデン | 0.815 |
6 | ドイツ | 0.815 |
7 | ニカラグア | 0.811 |
8 | ナミビア | 0.802 |
9 | リトアニア | 0.800 |
10 | ベルギー | 0.796 |
~~ | ~~~~~~~ | ~~~ |
125 | 日本 | 0.647 |
※世界経済フォーラム(WEF)「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)2023年版より
久喜市の状況
久喜市では、女性議員の割合が令和4年に30%を達成しました。これは、令和5年3月における国会議員の女性議員の割合が15.6%であることを考えると、久喜市は女性の意見が反映されやすい環境が整っていると言えます。
一方で、雇用体系は、令和2年国勢調査の結果、女性の正規雇用40.5%に対し、非正規雇用は59.5%でした。男性は、正規雇用78.6%、非正規雇用21.4%であるため、男性と比較すると、女性は非正規雇用の割合が非常に高くなっています。
また、女性の非正規雇用の割合は、全国52%、埼玉県55.6%であり、久喜市は全国や埼玉県と比べても高い割合です。
男女共同参画の国際的な取組み
ジェンダーギャップ指数と男女共同参画
男女格差を示すジェンダーギャップ指数と男女共同参画は密接に関係しています。
男女共同参画社会の実現には、あらゆる分野での男女格差を無くさなければなりません。
そこで、男女格差を示すジェンダーギャップ指数を見ると、日本では政治と経済の分野で男女格差が大きいことが分かります。
政治が「0.057」、経済が「0.561」という数値を示していますので、完全平等の「1」に程遠い数値となっています。
一方で、ジェンダーギャップ指数14年連続1位のアイスランドは、政治が「0.901」で世界1位、経済が「0.796」で世界14位ですので、政治や経済の分野において、日本より男女格差が小さく、男女共同参画が進んでいると言えます。
アイスランド(1位) | 日本(125位) | |
---|---|---|
経済 | 14位 | 123位 |
教育 | 79位 | 47位 |
健康 | 128位 | 59位 |
政治 | 1位 | 138位 |
※世界経済フォーラム(WEF)「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)2023年版より
アイスランドの取組み
アイスランドの特色
アイスランドがジェンダーギャップ指数1位である理由について、ここでは3つの取組みを紹介します。
1つ目は、クオータ制の導入です。
アイスランドでは、賃金格差や性別役割分担の是正に取り組み続ける中で、2010年にクオータ制(割り当て制)を導入しました。このクオータ制では、企業役員や国会議員は男女共に40パーセントを下回ってはいけないと定めています。
これにより、国会議員の5割近くが女性になりました。
2つ目は、世界初の男女の賃金格差を違法とする法律の施行です。
アイスランドでは、2018年に、同じ仕事をする男女に対して同額の賃金が支払われていることを雇用主が証明しなければならないと定めた男女同一賃金証明法ができました。この法律は世界初の男女の賃金格差を違法とする法律であり、違反した場合は、罰金が科せられます。
日本でも2022年7月8日の女性活躍推進法に関する制度改正により、常時雇用する労働者が301人以上の事業主を対象として、「男女の賃金の差異」が情報公表の必須項目になりました。
3つ目は、育休制度の充実です。
アイスランドでは育休期間について、母親6か月、父親6か月、父母共有6週間を取得でき、この期間の給与の8割は政府から支給されます。日本では、父親の育児休暇が取りにくい風土が残っているのに対し、アイスランドでは夫婦どちらとも育児休暇を取るという風土になっています。
男性の育児参加
女性の立候補
男女共同参画社会の実現を目指して
日本のジェンダーギャップ指数は、146か国中125位と大変低い順位で、特に経済(123位)と政治(138位)の順位が低く、経済や政治において「女性の力」を活かしきれていないとも言えます。
「女性の力」を発揮し、性別に関わらず誰もが活躍できることが、社会の活性化に繋がっていくと考えれらます。
皆さんも男女共同参画社会を実現するために、自分の身の回りのことからでも取組んでみてください。まずは、性別に基づく固定的役割分担意識※1や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)※2を無くしていくことから取組んでみませんか。
補足
男女共同参画に関する国際的な指数
男女共同参画に関する国際的な指数には、世界経済フォーラム(WEF)が発表しているジェンダーギャップ指数(GGI)以外に、国連開発計画(UNDP)が発表しているジェンダー開発指数(GDI)とジェンダー不平等指数(GII)があります。
ジェンダー開発指数(GDI)
人間開発の3つの基本的な側面である健康、知識、生活水準における女性と男性の格差を測定し、人間開発の成果におけるジェンダー不平等を表している。【日本の順位:191か国中76位(2022年9月8日発表)】
ジェンダー不平等指数(GII)
リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、エンパワー面と(社会的、経済的、社会的に力をつけること)、労働市場への参加の3つの側面における女性と男性の間の不平等による潜在的な人間開発の損失を映し出す指標。値は、0(女性と男性が完全に平等な場合)~1(すべての側面において、男女の一方が他方より不利な状況に置かれている場合)の間の数字で表される。【日本の順位:191か国中22位(2022年9月8日発表)】
参考
※1固定的性別役割分担意識・・・性別を問わず、個人の能力等によって役割の分担を決めることが適当であるにもかかわらず、「男は仕事、女は家庭」のように、男性、女性という性別を理由として、役割を固定的に分ける考え方のことです。
※2無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)・・・自分自身では気づいていない「無意識の偏ったものの見方」のことです。その人の過去の経験や知識などにより、何気ない発言や行動として現れます。
http://www.city.kuki.lg.jp/shisei/jinken_danjo/danjyo/johoshi.html
男女共同参画情報紙「そよかぜ」
・男女共同参画情報紙「そよかぜ」第14号(令和6年3月発行)で、ジェンダーギャップについて掲載しています。
(厚生労働省)男女間の賃金格差解消に向けて
https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html(外部サイト)
(男女共同参画局)男女共同参画に関する国際的な指数
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