第149回 鷲宮催馬楽神楽(わしのみやさいばらかぐら)が魅せる「狐」の舞
更新日:2024年5月2日
問い合わせ先:文化振興課文化財・歴史資料係
鷲宮1丁目の鷲宮神社では年に6回、国指定重要無形民俗文化財の「鷲宮催馬楽神楽」が行われますが、八甫(はっぽう)の鷲宮神社でも年に1回、4月15日の祭日にあわせて鷲宮催馬楽神楽が行われます。今回は、八甫の鷲宮神社でのみ行われる特徴的な神楽の演目についてご紹介します。
鷲宮催馬楽神楽は全12座の演目で構成されますが、そのほかにも番外の演目が伝承されていて、そのうちの一つ「天津国津狐之舞(あまつくにつきつねのまい)」が八甫の鷲宮神社でのみ行われる演目です。この演目は、狐(天狐(てんこ)・地狐(ちこ))の2人とひょっとこの面をつけた山の神の1人で舞い、狐たちが農夫に種まきを教える様子を表現しています。
鷲宮催馬楽神楽はかつて江戸に神楽を伝えたことから、関東神楽の源流とされていますが、この「狐」の舞はその後、江戸の里神楽から逆輸入されたものだと考えられています。そのため、本社で演じられることはなく、ほかの演目とは調子の異なる陽気な囃子(はやし)が演奏され、舞人(まいにん)がおどけた狐に扮(ふん)して横っ飛びを行ったり、その様子を山の神が胡坐(あぐら)をかいて眺めたりと、ほかの演目では見られない特徴的な所作(しょさ)の舞が演じられます。また、舞人たちが見物人に餅などを配り、その年の災厄を祓(はら)うならわしも、この「狐」の舞の時だけに行われます。
八甫の鷲宮神社では、天保(てんぽう)14年(1843)以降、神楽を行うようになったとされ、天保年間(1830~1843)の記録に12座の演目の番外として「天津国津狐之舞」が挙げられていることから、江戸時代後期には八甫で「狐」の舞が行われていたことが推察されます。
ぜひ一度、八甫の鷲宮神社に足を運び、古くから伝わる見事な「狐」の舞をご覧ください。
天津国津狐之舞
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