第13回 銅製桐文方鏡(どうせいきりもんほうきょう)
更新日:2018年7月25日
この鏡は、縦23センチメートル、横18センチメートルの長方形の銅製和鏡(わきょう)です。和鏡には、通常円形の形状が多いため、この鏡のような長方形の和鏡は類例が少なく、大変珍しい鏡といえます。
鏡の背面中央上部には、くちばしを合わせ羽ばたいている2羽の鶴が、左右対称に配置され、桐の文様が全体に均等に広がるように装飾されています。
鏡の中心部分には、亀形の鈕(ちゅう)(鏡にひもを通すための穴の開いた突起のこと)があり、ちょうど亀の甲羅をひもが貫通する形状となっています。また、鏡本体を収納するための沈金彫桐(ちんきんぼりきり)文筥(ふばこ)も付属されていて、鏡と共に鷲宮神社の社宝として今日まで大切に保存・継承されてきました。
この鏡は、装飾文様の特色から、安土桃山時代頃に製作されたものと考えられていますが、具体的な製作年や製作者、神社への奉納者などは分かっていません。しかし、製作者の高い技術力や、そのために多額の費用を負担した人物の強い意思を読み取ることができます。
鷲宮神社は、武蔵国太田荘(おおたのしょう)(現在の久喜市、加須市、羽生市、白岡市、宮代町、蓮田市、春日部市、さいたま市岩槻区)の総鎮守(そうちんじゅ)として、この地域の人々だけでなく、鎌倉幕府やその後の関東地方の中心的な政治勢力となった鎌倉公方・古河公方足利氏、戦国大名後北条氏などの関東各地の武将の信仰も集めました。銅製桐文方鏡は、鷲宮神社の中世の歴史を物語る文化財の一つです。
銅製桐文方鏡
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