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第50回 鎌倉時代末期に遡る貴重な仏画(ぶつが)絹本着色五大尊像(けんぽんちゃくしょくごだいそんぞう)

更新日:2016年3月23日

平成26年12月号の広報くき(久喜歴史だより第38号)で、久喜市菖蒲町菖蒲の吉祥院(きちじょういん)所蔵の「絹本着色如意輪観音像(けんぽんちゃくしょくにょいりんかんのんぞう)」を紹介しましたが、今回は、同院所蔵の県指定文化財「絹本着色五大尊像」について紹介します。

この絵は、画面中央に衆生(しゅじょう)を救う不動明王(ふどうみょうおう)を、右上に不浄(ふじょう)の心を除く金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)を、右下に煩悩(ぼんのう)の原因を打ち破る降三世明王(ごうざんぜみょうおう)を、左下に大きな威力の徳をもつ大威徳明王(だいいとくみょうおう)を、左上に障がいを取り除く軍茶利明王(ぐんだりみょうおう)の五大明王を、それぞれ一幅(いっぷく)の中に配して描いています。

大日如来(だいにちにょらい)の教えに従わない人や生き物を調伏(ちょうぶく)・救済(きゅうさい)する使命を容赦なく果たすため、そのほとんどが憤怒の表情をして、焔髪(えんぱつ)をなびかせ、降伏(ごうぶく)させるための持ち物を手にしているのが明王の特徴です。また、前述の五大明王(五大尊像)は、一具(いちぐ)(セット)として扱われることが一般的です。

五大明王(五大尊像)を描いた仏画は、古くは一幅一尊で五幅を並べて祈祷(きとう)の本尊とするのが正式で、一幅五尊の描き方は略式になりますが、中世以降に多く見られるようになってきました。この絵の製作年代は、その描写からみて鎌倉時代末期にさかのぼるといわれています。

悪しきものを降伏させるために自ら行動する仏として存在する明王は、顔や髪形、持ち物、足元などに注意して鑑賞すると、明王それぞれの特徴や役割がより詳しく見えて楽しく鑑賞することができます。

現在修復中のため、実際の絵は鑑賞できませんが、鷲宮町立郷土資料館第二回特別展図録「鷲宮周辺の名宝」等の書類の中に掲載されているものを鑑賞することができます。

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